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『海は見えるか』36

JUGEMテーマ:小説/詩


 防潮堤の問題でもう一つ重要な視点があります。
 防潮堤によって、沿岸から海が見えなくなることです。
 無論、堤防の上に上れば海は望めます。しかし、防潮堤の手前側にいたら、海はまったく見ることができません。
 
 震災で津波が発生した時、「海岸近くの海の底が見えた」ことで、大津波がやってくると察知し、必死で逃げたという証言が多数ありました。
 「海底が見えたら逃げよ」という古くからの言い伝えがあったからですが、それも防潮堤ができると見えなくなります。
 津波被害を受けた沿岸部の人たちは、生まれた時から海を眺め、海から生活の糧を得てきました。海と共存共栄してきたのです。
 
 そのため、震災後暫く経つと「海は怖いし憎い。でも、やっぱり気がつくと海を見ている」と答える被災者が大勢いました。
 多くの命や生活を奪った海ですが、それでも海から離れられないのが被災者の心情なのではないでしょうか。
 
 バブル経済が崩壊した後、日本は風土や地域特有の文化を蔑ろしてきた傾向があります。
 カネが全て。もっと言えば、弱者を踏み台にして誰がどうやって生き残るかに汲々としてきました。さらに、今まで以上に全国を一律標準化してしか考えないようになってもきました。
 それは、日本であって、日本ではない――。そんな印象を抱いている人は少なくないはずです。
 
震災復興を考えるに当たっても、同様の作用が働いた気がします。
 津波が怖いなら高い壁をつくればいい。それが被災者のためだろ、という根拠なき自信が邁進し、地元の声も、風土も文化も蹴散らしてきました。
 震災復興は、被災地だけの問題ではないことが、防潮堤建設の本質を掘り下げていくと見えてきたのです。
 
 
 

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