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日銀の空

 初めて日本銀行の中を覗く機会があった。
 NHKが教育テレビで放映している「知るを楽しむ 私のこだわり人物伝」(毎週火曜日22時25分〜50分)で、8月に故・城山三郎さんの追悼特集を行うことになり、光栄にも私がその1週を任されたためだ(放映は、8月14日の予定)。
 経済小説というジャンルの生みの親とも言われる城山さんの追悼番組に、私のような若輩が登場すること自体、不遜だと当初お断りしたのだが、取材を元に小説を構築する小説家というスタイルに共通点があると熱心にお奨め戴いて、身に余る光栄をお受けした。
 
 内容については、放送とそれに合わせて発売されるテキストをご覧いただくとして、その収録の際に感じたことを一つ。

 撮影は、日銀の旧館の中庭で行われた。日銀の旧館は、東京駅の設計でも知られる明治時代の著名な建築家、辰野金吾による。煉瓦造りの建物に御影石を貼り付けることで、重厚感と風格を漂わせた明治中期の代表的建築として知られている。
 その旧館の中庭は、門を入ってすぐの石畳が敷かれた場所だ。テニスコート一面分ほどの広さなのだが、東京のど真ん中であることを忘れ去る静けさと、長い歴史を刻んできた雰囲気を肌で感じることができた。
 その中庭で2年前、異変が起きた。空の風景が、変わったのだ。日銀に隣接する場所に、地上39階、高さ約194メートルの日本橋三井タワーが出現。それまで中庭からは青空しか見えなかった。年輪を刻んだ独特の墨色を帯びた御影石の壁と青い空。激動の近代現代日本の中にあって、その風景は不動のまま100年続いたのだという。それが、空を半分遮るように高層ビルが聳えたのだ。
 別に、日本橋三井タワーにケチをつけたいわけではない。だが、100年間変わらなかった風景が変わることとは何なんだろうかと、ふと考えてしまった。しかも、空を遮る高層部分にあるのは、外資系の高級ホテルマンダリンオリエンタル東京だ。
 どんな激動にも変わらなかった空の風景を突き破った外資系高級ホテル。その皮肉は、規制緩和などによって日本が守ってきた牙城が次々と破られた果ての、止めのように思えてしまった。
 同時に、変わってほしくない素晴らしい建物と風景とは逆に、もっともっと変わらなければならないことがたくさんあるはずのこの国の行く末も気になった。本当に変わべきものとは何か……。

 城山さんという斯界の巨人との縁によって訪れた日本銀行の中庭で私は、その答えを探さなければと改めて感じた。 

  

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  • 2018.01.18 Thursday
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コメント
こんにちは、城山先生の作品は大河ドラマの原作『黄金の日日』をきっかけに何冊か読みました。
高校生当時よくわからないで読んでいた城山先生の小説を何年か後に(社会人になって)読み返してより理解出来たことを思い出します。

真山先生の小説を読んだとき私も確かに城山先生が頭に浮かんだ事がありました。

放送楽しみにしております。
  • sugi
  • 2007/07/09 1:21 AM
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